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グリーン・スプーン

Rev. Tsukasa Sugimura

 今日のタイトルの「グリーン・スプーン」と言うのは冷凍食品の会社で、五年ほど前に設立された企業でありながら、今、急激に売れ行きを伸ばしている。これはテレビの人気番組「カンブリア宮殿」で紹介されたもので、この会社の設立のきっかけとなった話が実に奇抜で、ぜひ記事にしたいと思ったのである。

 この会社の社長、田邉智則氏は食品関係の会社を立ち上げてゆこうと考えたのだが、その世界では全くの素人で、何からどう始めて良いのか分からなかった。そこで、彼はその関係のプロに相談した。彼らは一様に、「食品関係で会社を立ち上げて行くのは簡単ではない。やめた方が良い」と言った。最初の8人が同じ意見であった。だが、彼は納得できないので9人目に尋ねたところ、その人はこう言った。「8人もダメだと言ったのなら、なおさら始めた方が良い。ダメだってことは、今の君のアイデアがユニークだってことだから」。それを聞いて、彼はこの会社を始めたのだった。何と素晴らしい発想の転換であろう。

 このグリーン・スプーンがユニークなのは、厳選した未調理の生の野菜をそのまま冷凍することだった。そして、スープの素と一緒に、電子レンジに掛けた時に料理されるため、野菜の歯応えや味が新鮮で、それが消費者の心をとらえて、今や人気の冷凍野菜となって売り上げを伸ばしているのだという。

 ルカ福音書一七章に十人のツアラトに罹った病人が主イエスによって癒やされた記事がある。彼らは主を見て声を張り上げ、「イエスさま、わたしたちをあわれんでください」と叫んでいるが、社会から孤立した存在であった。そこで主は「祭司たちのところに行って、からだを見せなさい」(旧約の律法により、祭司の許可によって社会に戻ることができるから)と答えた。そして、彼らは全員、祭司の元に行く途中で癒やされたのだったが、感謝を捧げるために帰って来たのはサマリヤ人一人で、他の9人はそのまま社会に復帰して行った。サマリヤ人は、驚くべき癒しを通して社会復帰のチャンスを与えてくれたイエスこそ主であると信じて感謝を捧げ、礼拝するためにイエスの元に戻ったのである。他の9人が主への感謝もなく社会復帰して行く中で、彼一人だけ反転して主に向かい歩み出したところに、このサマリヤ人の信仰という発想転換がある。

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