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最後は日本かアメリカか ②

 それが2年目あたりからそのメールはバッタリとやむ。頼りのないのは良いたよりそのものだ。生まれ育った母国だから何十年の不在でもすぐに慣れる。

 帰国の一般的な理由は、日本は運転する必要がなく、電車やバスでどこでも行ける。国民健康保険が徹底し、医療費が安く、老後の治療費を心配しなくて済む。その上に日本食は人生最後の日々を幸せにしてくれる食べたいものが食べられる。おいしいものを食べ、穏やかな生活で寿命も伸びるであろう。

 アメリカで激動の日々を生き抜いてきた身には、日本の老後生活に物足りなさを覚えることもありはしないか。だが、皆が口々に言われる。『アメリカで暮らしていたことが夢のようだ』と。帰国後の短期間のうちにアメリカ生活が記憶の底からどんどん抜け落ち、忘却のかなたへ流れ去って行くと言われる。

 アメリカに生きる道を選んだ私たちの最後の課題は、最後をどこで、どう生きるかの決断を下すことだ。出てきた時とは方向を変え、今度はどこに帰るか、帰らないかだ。覚悟を決め、全責任をとって決断する時、アメリカで命をかけて奮闘した日々に満足する静かで満たされた境地に到達できるだろう。

 日本帰国なら、どうかアメリカでの何十年の豊かな思い出を忘れないで欲しい。あなたが勇敢に何でもチャレンジしたことをしっかり記憶に刻み込んでほしい。もし、アメリカにとどまるなら、最後までとことんあなたの幸せを追い求めればいい。1人で出て来たのだから、帰って行くのも当然1人の決断だ」

 

 最後が日本であれアメリカであれ、パウロは、「わたしたちの国籍は天にある」(ピリピ三・20)と宣言する。いずれ、やがては肉の衣を脱ぐ時が来る。その時に、イエスを救い主と信じているならば、そこは天国であり、「神自ら人と共にいまして、人の目から涙を全くぬぐいとって下さる。もはや、死もなく、悲しみも、叫びも、痛みもない。先のものが、すでに過ぎ去ったからである」(黙示録二一・3~4)という天に移り住むのである。今回の投稿に何度もあった「幸せ」とは、この一時的で闘いの多い世界を超えて、本来のあなたの国籍である天の神の約束に目を向けるところから来ると思うのだが、いかがであろう。

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