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犬養道子 ④

 その感謝のしるしに、アメリカの貧しいコモン・マンの子女の奨学金の一部にもと、私もまた無名で(すなわちコモン・マンの伝統にしたがい)ここ数年、新学年の季節にわずかの金を東部のカレッジとサナトリウムに送り続けている。 

 その後、犬養道子はヨーロッパで学びをし、1968年に帰国。世界の難民キャンプや紛争地に赴いて救済活動をした。難民に奨学金を支給する「犬養道子基金」も設立し、2017年96歳まで活動した。なお彼女は、首相を務めた犬養毅の孫で、カトリック信者。(公益財団法人結核予防会よりwww.jatahg.org - uploads 2023/03 -「ロサンゼルス行き列車・犬養道子結核療養の旅」より)

 僕は、犬養道子の体験談を知った時、改めてアメリカ人の懐の深さを教えられた。それは「コモン・マン」つまり、「普通の人」という考えで、聖書の教え「隣人愛」から来ている。それはルカ十章の「良きサマリヤ人」の譬えである。  

 ある人が強盗に襲われて半殺しの状態になって路上に倒れていた時に、そこを通りがかったサマリヤ人が、この見ず知らずの人を、下にも置かぬ介抱をして助けたという話である。だから、あなたもあなたの助けを必要としている人の隣人になりなさい、という教えであり、「良きサマリヤ人」といわれるゆえんである。

 この箇所は、隣人がどういう人であろうと、どんな状況であろうとも、あなたが、今、助けを必要としている人の隣人になって愛し仕えなさい、という積極的で行動を伴う教えである。それを文字通り実践したのが主イエスであり、私たちの隣人となって私たちに仕え、罪を取り除くために、十字架に身代わりになってまでも、私たちを愛した主こそ真の「良きサマリヤ人」である。

 現在、戦禍の中にある人々はもとより、私たちの身近で不遇な境遇に置かれている人々や、様々な困難や痛みの中にある人々の隣人となることも、主の愛に応えることになるのではあるまいか。平和は誰でもない、あなたというひとりの行動から愛の輪が波紋のように広がってゆく、と信じるからである。小さな一歩で良い。思い遣りのあるひと言で良い。一輪の花を手渡すだけでも良い。良き隣人となるために、あなたから行動を起こしてみてはいかがであろう。

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