最後は日本かアメリカか ①
- Rev. Tsukasa Sugimura
- 4月6日
- 読了時間: 2分
更新日:4月10日
今回は「最後は日本かアメリカか」という『羅府新報』の「金曜随想」(2025年3月7日)に投稿した樋口ちづ子氏の興味ある記事を紹介しよう。
「家の売買に関わる仕事柄、これまでたくさんの方々の米国の家を売り、日本永住帰国するお手伝いをさせていただいた。40年、50年、アメリカで奮闘した後の日本帰国は、それぞれの方が長年迷い、悩んだ挙げ句の最終結論だから、その理由をお聞きすると、わが身に照らし合わせ、とても他人事ではなかった。
決断に至る過程をじっくりお聞きした上で、最良の結果を出すには、何をどうすれば良いかを考える。多方面から考慮し、整理し、十分に準備した後に、いざ決行である。当人はアメリカ生活の思い出の詰まった家を後にするということで、感情的になりがちであるから、手伝う側は、あくまでも冷静に、結果につながる策略を虎視眈々(こしたんたん)と実行しなくてはならない。
過去2年間は、特に永住帰国者が多かった。しかもこれまでと傾向が異なり始めた。以前は子どものある方は、子どもが住む国を自分たちの終(つい)のすみかにされたものだが、今はそれを考慮しない方が増えてきた。過酷なアメリカ社会で奮闘する子どもたちに、親の面倒を見るという負担をかけたくない。自分たちの最後の始末は自分でする、という決心が垣間見える。裸一貫でアメリカ社会で生活を築き、子どもを育て、活躍した新1世は大なり小なりの成功の過程がどんなに過酷であったか身に染みて知っている。だからこそ、子どもに負担をかけたくない。親は子どもがいくつになっても、子どもの幸せだけを考えている。想定外だったことは、長く在米している間に日本の親兄弟が全て他界し、親戚もめいやおいのみというということも多い。ふるさと日本はいつも何十年も前の姿で心の中にあるが、日本側の現実はどんどん変化している。
ところが、日本に親戚、友人、知人がいなくても各地の高齢者施設を見学し、今まで一度も住んだことのない土地に永住すると決める方がある。日本には老齢者専用の施設が多く、その中から自分の必要を満たす施設を選ばれている。
帰国後の、最初の1年は、日本は暑い、寒い、災害が多い、湿気が耐えられないと、いろいろ不満のメールを近況報告としていただくことが多い。
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