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二世兵士が一つとなった瞬間

 戦時中の日系兵士は紫心勲章部隊といわれるほど勇敢に戦った。それはアメリカ国内の反日感情との闘いに打ち勝つためであり、差別や迫害を受けてきた一世の親たち、さらにこの国で生まれ子らに真の解放をもたらすためであった。

 そのようにして出征していった二世であったが、初めから彼らの心が一つだった訳ではない。ハワイでは、1500人の応募に一万人以上の若者が殺到した。七倍近い応募者数である。身体検査で落ちると「家の恥」であり、ハワイを出る時は、「千人針」をつけ、星条旗を振られ「バンザイ」で見送られた。

 だが本土では、出征すると「裏切り者」や「犬」と呼ばれ、時には暴行を受けた。だから志願者はこっそり抜け出した。志願者は二世全体のわずか5%だったという事からも、二世が本土で出征することが、いかに難しいかを物語っている。機関銃と鉄条網で囲まれた強制収容所から、アメリカのために忠誠を誓い、出征して血を流すということ自体、考えられるはずもなかったのだ。

 この状況を知った首脳部は、その解決方法として、ミシシッピー州で訓練を受けていた二世たちに、近くのアーカンソー州ジェローム強制収容所を見てもらうことにした。その一行に後のダニエル・イノウエ上院議員がいた。その時の彼の感想である。「そこに行くバスの中はお祭り気分でウクレレを弾いていたが、帰り道は無言だった。それは恐らく、皆が同じ事を考えていたからではなかっただろうか。もし自分が、この中に入って居たとしたら、それでも志願しただろうか」と。ハワイと本土の二世が日系部隊として団結した瞬間だった。

 イスラエルがペリシテ人の総大将ゴリアテと戦う時に、彼に立ち向かうためにダビデが申し出て勝利をした。それによって、ヨナタンとダビデは親しい間柄になる。ダビデが信仰によって神に信頼し、同じ信仰に立つヨナタンの心と一つになったからだ。「主は一つ、信仰は一つ」(エペソ4・5)だからである。

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