本当に偉大な人 ①
- Rev. Tsukasa Sugimura
- 11月2日
- 読了時間: 2分
今回は、ワシントン州スポーケン市のハイランド・パーク・メソジスト教会で、長年奉職した島田重雄牧師の説教を綴った本、『北米の地に御声は響く』から、「本当の偉大な人」というタイトルのメッセージを引用しよう。
今から50年ほど前のことである。ハワイのホノルル市にD・C・エモンズという青年将校がいた。彼は日本人の若い夫婦者を住み込みの働き人として雇い入れた。この日本人夫婦は、ホノルルから少し離れたところにある、カネオへという町の日本人教会の会員であった。この夫婦は忠実に働いてエモンズ夫妻に仕えた。やがてエモンズ氏が米国本土に栄転した時、彼はこの日本人夫婦に、「本土で今までと同じ様に働いてくれ」
と頼んだ。この夫婦は心よく承諾し、本土に移って約30年間、陰日向なく良く働いた。
日米戦争が勃発した時、エモンズ中将は再びハワイに総司令官として任命された。さて、本土からハワイに移る時、三〇年一日のように仕えてくれた日本人夫婦に、
「自分はハワイに行っても、決して日本人をいじめる様な事はしない。だから安心しなさい」
と、心配顔の夫婦をなぐさめ、固い約束をしてハワイに移った。ホノルルに着くと、政治家、実業家の群が彼を待ち構えていて、
「直ちにハワイにいるすべての日本人に、総立退きを命じて欲しい」
との強い要求を出した。
その頃、アメリカの西海岸3州(ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州)に住んでいた日本人12万人には、総立退きの命令がデウィット中将によって発せられ、海岸から300里以内に住んでいた一世も二世も皆、大混乱の波にもまれていた。
ハワイの政治家、実業家にとって見れば、長年かかって築き上げた日本人の固い基盤を一気にくつがえし、財産を取り上げる又とない良い機会であった。



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