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水野源三とハンセン氏病患者

 「瞬きの詩人・水野源三の世界『こんな美しい朝に』の末尾に、一世を風靡したクリスチャン作家、三浦綾子女史のご主人、三浦光世さんのコメントがあり、そこに次のような短歌が紹介されていた。圧倒的で、実に衝撃的だ。それは谷川秋夫というハンセン氏病患者で、中途失明者のキリスト者の一首である。


 「吾に未だ聞ゆる耳あり麻痺せざる口あり神の恵みと思ふ」


 この「麻痺せざる口」という表現が、水野源三さんを思っての上でなされたかどうか確証はないが、多分にそのように思われる、と三浦さんは指摘する。

 当の水野源三さんは、長野県坂城町で小学四年生の時に赤痢に罹り、脳膜炎を起こした結果、体の自由を奪われ、脳性麻痺となってしまった。1946年8月で、終戦からちょうど一年が過ぎた頃であった。歩くことも、言うことも、手を動かすこともできず、家族が彼の手足となってくれた。彼は自分で意思表示ができないので、お母さんが五十音図を彼に見せ、コタツの上にちょこん顔を乗せた彼が瞬きをする時に、その文字を拾い、一字一字ひろって詩を作りあげたのだった。それで四冊も詩歌集を世に出している。まさにパウロの「主の恵み汝に足れり」(1コリント15・10)をそのまま生きてきたような信仰者であった。1984年、源三さんは47才の若さで召天している。

 その源三さんに坂城出身の宮尾隆邦牧師が伝道した。今もそうだが、伝道者は郷里では受け入れられにくい。彼も大変な苦労をした。進行性筋萎縮症を煩い、杖をつきながらの伝道で、水野家もはじめは拒絶的だった。しかし彼は誠実に訪問を続け、話をし、福音を語った。やがて源三さんはイエスを救い主と信じ、両親も受洗している。次は源三さんの澄みわたる様な復活の一編だ。


 「空には 夜明けとともに 雲雀(ひばり)が鳴きだし 野辺には 

 つゆに濡れて すみれが咲き匂う こんな美しい朝に こんな美しい朝に   

 主イエス様は 墓の中から 出て来られたのだろう」

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